テクノストラクチャー開発物語
テクノストラクチャー開発物語

木と鉄の融合がテクノストラクチャーのはじまり

木と鉄の融合がテクノストラクチャーのはじまり

新工法の開発プロジェクトチームが最初に行ったのは、日本で採用されている住宅工法の調査。その結果、もっとも多くの家に採用されていたのは木造軸組工法(木造)ということが判明しました。日本の気候・風土に適した木造住宅が多くの方に選ばれていたのです。

そして調査を継続していくなかで、在来木造住宅の技術を継承する熟練大工や住まいの骨格となる良質な木材が減りつつあるという事実を知ることとなり、開発の方向性が定まりました。

「木造の住宅の魅力を損なうことなく、新たな素材を導入して木造躯体の弱点を克服し、より高品質・高強度な住まいを実現しよう」

「熟練大工でなくても建てられる工法を生み出そう」と―。

連日検討を重ね、柱には圧縮強度の高い木材を用い、梁には曲げ強度の高い鉄骨を組み合わせるという発想にたどり着きます(※)。これが、「テクノストラクチャー」のはじまりでした。

木と鉄を複合した梁は、のちの「テクノビーム」です。

安心して暮らせる住まいのために

木と鉄の融合がテクノストラクチャーのはじまり

木と鉄による複合梁の採用とともに、開発の大きなテーマとなったのが、一邸ずつすべての住宅を対象とした構造計算のシステム構築です。2階建て以下の木造住宅については、現在構造計算は義務づけられていません。これは、熟練大工の勘や経験で建てられた木造住宅は充分な信頼性があり、木造住宅の構造計算には大変な手間がかかるためです。

しかしプロジェクトチームは、本当に安心して住める家づくりには、2階建て以下の木造住宅でも構造計算によって“安全”を数値化して示す必要があると考え、新工法を採用する場合には建物の大小にかかわらず構造計算を行うこととしました。

必要不可欠だった邸別構造計算

必要不可欠だった邸別構造計算

プロジェクトチームは自由な間取りを優先しつつ、大工の技術に頼らない工法を目指していました。だからこそ、全邸の構造計算は必須条件とし、新工法として提案する以上は科学的な根拠は欠かせないと考えました。

そこで採り入れたのが高度な解析システムです。住宅建築ではほとんど使われることのないシステムであり、手探り状態のなか一つひとつ課題を解決しながらプログラムを組み上げていきました。

震災、そして完成へ

―テクノストラクチャーの完成も間近に迫っていた平成7年(1995年)1月17日早朝、全半壊家屋25万棟以上という被害をもたらした阪神・淡路大震災が発生しました。

震災が起こったとき、テクノストラクチャーの最終試作棟が建つ門真市は震度5の強震に襲われました。すぐにスタッフが状況を確認しに現場に急行。しかし、駆け付けたスタッフが目にしたのは、基礎のわずかなひび割れさえない無傷の試作棟だったのです。

住まいの耐震性能への関心が高まるなか、同年12月には震災のデータをもとに実物大の住宅を用いた耐震実験を実施。計5回の実験で主要構造体や接合金具の損傷はもちろん、屋根や外装・内装材の落下やズレもなく、新工法の強度が改めて実証されました。震災をきっかけに新工法の完成を実感したプロジェクトメンバーには、この工法を多くの人々に広めていきたいという強い思いが込み上げてきたのでした。